Twitterで見かけたアメリカのTEDxに登壇する日本人
こんにちは、Base English編集長のYukiです。
TEDのコンテンツが好きで英語学習やプレゼンの参考によく見ているのですが、Twitterを見ていたら、ハワイ在住の日本人英語コーチであるAikoさんが今年9月にHuntington Beach(カリフォルニア州)にて開催されるTEDxに登壇されるという投稿を見つけました。
TEDxに合格するまでの経緯を動画でシェアしましたー^_^ TEDxでスピーチしたい方の参考になれば良いな😆🙌
— AikoHemingway|TEDx|English Pronunciation Coach (@aiko2232) April 4, 2023
TEDxでスピーチします TEDxHuntingtonBeach 2023https://t.co/kkESRCKDio
これはTEDのことを深く知るチャンスと思い、TwitterのDMで合格までのプロセスに関するインタビュー依頼をするとご快諾いただき、今回の取材が実現しました。
Aikoさんは、英語上級者向けに英語の発音コーチをしていて、会社の重役やハリウッドなどのアメリカの芸能界を目指している人たちに対して発音や話し方の指導をしています。今回TEDxにエントリーしたテーマも声や話し方に関連する内容とのことです。
TED Talkに応募しようと思ったきっかけ
実は2年ほど前から自分のビジョンや将来の姿を思い浮かべようとすると、ステージの上に立っている自分がイメージできたんですね。また、去年の10月にも日記でTEDでスピーチしたいということを書いていて、いつかはという思いを常に抱いていました。
そして、今年の2月に知人のfacebookの投稿に”Huntington Beach”で開催されるTEDxに参加するスピーカーの応募者を募集しているという記事を見かけたんです。最初見かけた時は準備も実力もまだ不十分かなと感じてスルーしてしまったのですが、”今日が応募の最終日”という投稿を見て、やっぱり応募しなきゃ!と感じました。
その日はちょうど出かける予定があり、夫が車を運転しているその隣で私はスマートフォンで応募フォームに必要事項を急いで入力していきました。焦りと緊張から、かなり手が震えたことを覚えています。
応募に必要な60秒間の自己紹介動画とプロに撮影してもらったプロフィール写真も無事に用意でき、なんとか応募期限に間に合わせることができました。でも、TEDxは1つのイベントに平均300人が応募して、10名ぐらいしかスピーカーの枠がないというのを聞いたことがあったので、内心難しいかもなと思っていました。
TEDx:一次審査
一次審査では、私が23歳の時にアメリカに来て、英語が全く話せない状態から色んなことを練習してきて、最終的にモンゴルのThroat singing(喉歌)という歌い方に出会って、発声法に関する理解や健康に良い呼吸法を知ったことについての内容について紹介しました。Throat singingを活用すると、咳もすぐ止まるし、風邪を引いてる時の喉の痛みも収まるんですよね。
TED全体には「Ideas worth spreading」というテーマがあるように、TEDxにもそれぞれのテーマが用意されており、Huntington Beachで開催されるスピーチは「Possibility(可能性)」がテーマとなっています。
それなので、私はThroat singingを使って、外からではなく身体の内側から健康になることができるという内容を話せればと考えて応募したところ、無事に審査を通過することができました。
TEDx:二次審査
二次審査では、スピーチの出だしの60秒を収めた動画と、それを文字起こしした300字程度のPDF資料を送りました。特に60秒の動画は、実際のスピーチを想定したものを求められているので、自分が立って動きながら話している形式で撮影を行いました。
押さえるべきポイントとしては、自身のアイデアの核を必ず60秒の中に入れることです。本番ではスライドを使って話そうと思っていたので、それが入るように工夫もしていました。あと、今回は音をテーマにしているので、サイエンスデータとして、音の周波数などの資料も用意しましたね。
動画とPDF資料に加えてなのですが、これまでのTED(TED talks/TEDx)で類似するスピーチを2つを例に挙げて、自身のアイデアとどう違うのか?というケーススタディも課題としてありました。私の場合は発音やヒーリングサウンドという領域だったので、類似動画も少なく比較対象を見つけやすかったです。
そして、無事に二次審査も通過することができました。
最終審査に向けての準備
三次審査が最終審査にあたるのですが、ここまできたら絶対に受かりたいと思いました。そこで、TEDxに登壇経験のある知人が3名いたので、すぐにコンタクトをとって話も聞いてみたところ、うち2名は開催側からのオファーで登壇、残りの1名が私と同じように審査を経て合格したという流れでした。
私と同じプロセスで合格した方に相談をすると、その方を過去にサポートしてくれたTEDxのスペシャリストに繋いでもらうことができ、翌日には90分間のコーチングセッションをしてもらうことができました。二次審査から最終審査まで5日しか準備時間がなかったので、非常に心強かったです。そこで出たアドバイスとしては、サイエンスデータや話し方のポイント、TEDxのテーマである「Possibility」にどう役立つかを意識するなど、客観的な視点で見てくれて、TEDxというイベントをいかに盛り上げるかということの重要性を感じました。
TEDx:最終審査
そして、いよいよ最終審査の日を迎えました。最終審査は運営とのZOOMインタビューだったのですが、「これまでの審査はどうでしたか?」など、ラフな感じのコミュニケーションでした。審査の前にもメールで、”着飾らず、ありのままの自分で”という意味で、”Be you”と書かれたメールが送られてきていました。
他には、ヒーリングやThroat singingの領域は科学的に立証するのが凄く難しいから、テーマを、”日本人としてアメリカに住んで、どのように英語を習得したか”という内容に変更することもできるか?とも聞かれました。私の本業は英語発音コーチなので、むしろ得意領域だから大丈夫!という回答をしました。
最後に、9月のTEDxまでに5回のトレーニングがあるけど日程的に参加が可能かと確認され、うち1日はヨーロッパ旅行中だけど、オンラインだから調整できるかもと伝えた感じです。
そして、最終審査の2日後に「Interview Status」と書かれた件名のメールが届き、開封をすると、”CONGRATULATIONS!”という文字が目に入り、TEDxの審査に合格したことがわかりました。
合格した時の気持ち
合格した旨が書かれたメールを見て、すぐに夫のいる部屋に行き、”これ見て!”とスマートフォンの画面を見せました。夫はおめでとう!と言いながらハグをしてくれて、その瞬間に急に腰が抜けて立てなくなっちゃいました。本当に合格したことにびっくりして、それから2日間は全然寝れませんでした。身体の震えは止まらないし、手足もずっと汗をかいているような状態だったんです。
でも、3日目から切り替えて、このプレッシャーに耐えうる身体とメンタルをつくろうと生活習慣や運動、Throat singingの呼吸法を取り入れていきました。既にTEDの運営によるトレーニングも4月中旬に受けたのですが、その日の夕方にはトーストマスターズのクラブでスピーチを練習しました。TEDx本番のスピーチ時間は9分間ですが、本番である9月23日までにスピーチを1万分(約167時間)練習することを目標にしています。
TEDxの参加を通して伝えたいメッセージはありますか?
英語圏に自分の好きなことやこだわり、スキルを発信していく日本人が増えたらいいなと感じています。もともとはThroat singingについて話す予定でしたが、日本人の英語習得について話す可能性があるので、自分が23歳の時にアメリカにきて、そこから英語を身につけた経験をもとに英語学習をされている皆様を勇気づける内容にできれば嬉しいです。